人気ブログランキング |

飲食 グルメ 経営 居酒屋 スキー など

by boaboa16

2010年 04月 02日 ( 1 )

外食業界の哲学王に学べ

外食業界の哲学王といえば、坂井英也氏である。

ちなみに、何故だか このブログの検索キーワードランキングは彼の名前が常に一番である。。。(なお私の個人名では全く検索されていません「笑」)

そんな彼のブログは、毎回かなりの長編難解!?なのだが 今回は非常にわかり易い内容で為になるので、一読の価値がアリ。

我々が真に目指すべき姿、それは常に
「お客様が求めるモノの後追いではなく、お客様の心に残る価値の創造」
に他ならない。(絶対に価格による訴求であってはならない。外食産業は小売業ではない。)

お客様の笑顔を想像出来なくして、この業界に生き残れる術はなし。

さぁ、あなたの目の前のお客様の口元は綻んでいますか?

~~~~~以下転記~~~~~~~~~~~~~~~~

ポストチェーンストア理論テーマ:ブログ
アメリカの外食マーケットを視察してきた。事前情報として、アメリカはリーマンショックなどの金融危機の発端となっており、外食マーケットも冷え込みを見せていると聞いていたが、いたるところでアメリカの底力を感じると同時に、外食産業が日本に比べると相当に恵まれた環境にあると感じた。カリフォルニアロサンゼルスで視察したディナーハウス「Houston’s」はその象徴だ。客単価で50ドル~60ドルにはなるその店舗の客席は250席。ここまでの大箱であるにも関わらず18時を前にして満席、そして入り口を埋め尽くすウェイティング客。ステーキやハンバーガーの高い商品レベル、高い接客レベルに支えられた集客であろうが、6億円というその店舗年商は、現在の日本の外食ではあり得ない規模である。また、同じくロサンゼルスで行ったファミリーダイニング「IHOP」も触れておきたい。モーニングの時間帯、日曜朝8時頃に入店したが、8~10ドルという客単価は日本の感覚ではかなり高い。であるにもかかわらず店内は満席、そして入り口には店内に入りきれないウェイティングの人々。IHOPは「international house of pancake」の名の通り、パンケーキを核商品にしたファミリーダイニングで、パンケーキの商品力、そして接客力それぞれ相当なものであったが、こちらも年間に4億円は売り上げるという日本ではありえない売り上げを叩き出す繁盛店であった。余談だが、IHOPではパンケーキが「光輝いて」いた。べたな表現で恐縮だが、これは照明や内装、スタッフの笑顔,そして徹底した商品のこだわり(店長のご厚意でキッチン内を拝見させてもらったが、グルテンをしっかり管理した、徹底して気配りのされたパンケーキ用のバッターが仕込まれていた)などが幾重にも重なると商品は「光り輝く」のだと痛感した。

なぜアメリカマーケットはここまで厚く底堅いのであろうか。私はその理由は3つあると思う。1つ目は金融危機を経ても富裕層は確実に、しかも数多くいるということ。一部の有名店を除いて軒並み打撃を受けている日本の高級外食店。しかし、アメリカでは事実「Houston’s」に代表されるように、高級店であっても客足の鈍りは少ない。2つ目には家庭内での調理が相当程度減ってきているということ。朝、昼、夜、それぞれ外食店で食事を済ます家庭が多いのだろう。IHOPで見たとおり、アメリカでは朝食も家族で外食をするという文化がある。それに対して日本では、真っ当な食事は自宅(内食)で、という発想が根強い。これは日本の外食企業の努力不足の側面もあると思うが、文化の違いも大きいのではないだろうか?家族でIHOPで食事をすれば、4人家族だと4000円近い出費となる。朝から4000円の出費、日本の感覚であれば考えられない。3つ目はチップの文化があるということ。サービス担当者へ我々が払うチップは、店側から見れば実質人件費である。チップがあれば時給は最低限で抑えやすくなり、その分店側の利益がかさ上げされていることになる。そのため、日本に比べると、アメリカのレストランビジネスは利益を出しやすい構造となっている。これらのことが、アメリカの外食マーケットを盛り上げていることにつながっているのではないだろうか。

以上のように、外食を取り巻く環境は、アメリカと日本では相当程度違っている。日本の環境は一言で言って「厳しい」のである。そんな中、日本の外食企業がとってきたここ10年の施策は、良くも悪くも「疑似ファストフード化」であった、と言えるのではないだろうか。集客に苦労し、利益を出すことに苦労した日本のデーブルサービスの外食企業。そんな中でもなんとか利益を出すために行ったのは、徹底した生産性の向上だった。アメリカではファストフード店でしか見ることのできないドリンクバーを導入し、店舗内調理行程を徹底して省き、商品の価格を下げ、テーブルサービスレストランからテーブルサービスを排除していった。このような涙ぐましい努力の結果として、何とか集客し利益を絞り出しているのが日本のレストランの現実なのではないだろうか。客席数の数までしか集客出来ず、売上げに上限のあるテーブルサービスレストランでは、価格を下げるということは大変なリスクを伴う。事実、アメリカのほとんどのテーブルサービスレストランで、日本ほどの低価格志向を感じることは無い。であるにもかかわらず日本の外食企業が「疑似ファストフード化」を推し進めざるを得なかったのは、このような外食を取り巻く厳しい環境が背景にあることは間違い無い。またさらに、私はこの行為を助長した、背後に潜むものもあるのではないかと考えている。それは、渥美俊一氏 が日本へ持ち込んだ、チェーンストア理論への外食企業の「心酔」だ。

チェーンストア理論は素晴らしい理論だ。その理論を元に多くのビッグチェーンが生まれている。イオン、イトーヨーカドー、ダイエー、外食ではサイゼリヤ、ワタミ、ゼンショーなどだ。チェーンストア理論は絶対的な低価格を志向する。それによって集客を最大化するという手法である。しかし、この理論において恩恵を受けるのは主に外食の中でもファストフード店(=お客様がいらっしゃったらいらっしゃった分だけ販売できる、いわば物販型の店)である。テーブルサービスレストランにおいてこの理論の適用は、注意深く考えなくてはならないであろう。集客を最大化しても、こなせる客数は客席数の制限を受けるからだ。であるにも関わらず、外食企業は盲目的にチェーンストア理論に心酔してしまっていた部分もあるのではないだろうか。

今回の視察において印象的だったハンバーガーチェーンがある。それは「IN-N-OUT 」だ。ハンバーガーの種類は3つのみ。それもバンズとパティは全く一緒、違いはチーズが入るかパティが2枚になるかだけだ。それがまさに爆発的に売れている。イートインで、テイクアウトで、ドライブスルーで、とんでもない客数をこなしていた。価格はハンバーガー1個1ドル69セント。商品の絞りこみが低価格と高いバリューにつながり、それが爆発的な集客に結びつき、さらにファストでの商品提供で集客したお客様ほぼ全てをこなせるというファストフードの権化のような店だ。しかし、実は彼らはチェーンストア理論をそのままに実行することはしていない。そもそもここのハンバーガーはバンズもパティも野菜も全て美味い。「美味すぎるものは飽きる」と指導するチェーンストア理論とは逆行している。特に野菜の美味しさは特筆ものだった。この野菜は店舗でカットをしているという。また、フライドポテトも生の芋をあく抜きし、店舗でカットし揚げている。チェーンストア理論で考えれば非効率極まりない。すでに400店以上を展開し、700億円以上を売り上げる彼らが、チェーンストア理論を知らないはずがない。彼らはしっかり自分の頭で考えているのだ。理論に頼り切るのではなく、お客様によろこんでいただける、評価いただける作業方法を自分たちで考え、実行しているのだ。我々日本の外食人は、渥美俊一氏が日本に持ち込んだチェーンストア理論というものは、渥美氏のフィルターを通してアメリカより持ち込まれているものだと理解しておく必要があるのではないだろうか。

日本の外食を取り巻く環境はさらに厳しさを増すだろう。そんな中で、我々外食企業が力強く生き抜いていくには、真摯にチェーンストア理論を学びつつも、最後は「自分の頭で考え、実行する」ということが必要なのではないだろうか。絶対に成功が約束されている経験法則などは無いのだ。それは幻想すぎない。理論は学び、参考にはするが、お客様に支持いただけると考えれば、それが理論に反していても果敢に実行する。そのようなことができる企業こそが、新しい時代の日本の外食を担っていくのではないだろうか。「外食一新」を掲げるユナイテッド&コレクティブ。我々こそが、その担い手と信じ、努力を重ねていきたい。
by boaboa16 | 2010-04-02 04:01 | 仕事